ここはF4のことが大好きな私たちの頭の中で、日々繰り広げられているF4ワールドを公開している ブログです。 よろしければ一緒にスーワールドへ、迷い込みませんか?

『月明かりの二人』

...2009/02/27 00:11...




ある秋の日の午後。
西に向いた窓からは、秋の日差しが差し込んでいる。











彼はソファに深く座り、長い足を組んでその上にギターを抱え、
その綺麗な指先から優しいメロディをつむぎ出していた。
口からは低く、耳に心地いいハミング。
私はそんな彼の声に、耳を傾ける。
そんな何気ない休日の午後が、私は好きだった。


集中し出したら、側でどんなに大きな音を立てようと、反応しない彼。


今日はどれくらいの間、放っておかれちゃうのかしら??


しばらくの間、私は彼の背中が見えるベッドの上で、目を閉じて、
その心地いい音と声に身を委ねていたが、
知らない間に深い眠りに吸い込まれていったらしい。




そして、夢を見た。





秋の紅葉に真っ赤に燃えた森の中。
私は数メートル先に見える彼を追いかけている。
彼は歩いていて、私は走っているのに、
どんなに走っても彼に追いつけない。
それどころか、私と彼の間はどんどん離れていく。


「孝天!!」


私は声に出して彼を呼ぶが、彼は決して振り返らなかった。


「ねぇ、待って!!待ってよ、孝天!!」


ふと、彼が立ち止まる・・・・・背中を向けたまま。
私はその背中にハッとした。



孝天は時々、とても悲しげな表情をする。
それと同時に背中にも悲しさが漂うのだ。
その意味は私には解からなかったが、私はその背中を見るたびに、
泣きたくなる衝動に襲われた。
そんな時、彼はそんな私の様子にすぐ気付き、「どした??」と笑って、
大きな手で私の頭を撫でてくれるのだった。




孝天の背中が泣いてる・・・。




なぜだか私にはそう思えた。
そして私は走り続ける、彼に追いつくために・・・。

すると彼が振り返った。
その端正な顔に笑みを浮かべてはいたが、とても悲しい笑顔だった。


「孝天・・・」


私がたまらずそう言った瞬間、彼がどんどん透けて消えていった。
悲しい笑顔を残したまま・・・。


「孝天!!孝天!!」


私は紅葉が敷きつめられ、真っ赤に染まった絨毯の上を、
彼を求めて探し回った。
けれども、さっきまで確かにそこにあったはずの
彼の温もりまで消えてしまっている。



どうしよう・・・どうしよう・・・。



私の中で、とてつもなく大きな喪失感と不安が渦巻いていた。
私はついに頭を抱えて叫ぶ。



「孝天!!!」





・・・・・・「どした??」・・・・・

彼のいなくなった恐怖にギュっと閉じていた目を、ゆっくりと開けてみる。
するとそこには、さっき消えてしまったはずの彼が、
私の顔を覗き込み、大きな手で私の頭を撫でていた。


「孝天・・・どこに行ってたの・・・??」


まだ残る喪失感でボォっとしながらも、彼の顔を見つめながら尋ねてみた。


「ハ?? どこにも行ってないけど・・・。
なんだ、お前、夢でも見たのか?」


フッと苦笑いをして、
涙で濡れた私の頬を優しく撫でる彼の手の温もりに触れた時、
私の中の不安が消え、その代わりに安心感が広がっていくのがわかった。

そんな私を呆れながらも優しく見つめる瞳を見ていると、
たまらなくなって起き上がり、彼の首に抱きついていた。
彼の温もりが体に浸み込む。


「孝天・・・怖かった・・・。」


彼はそんな私の様子に戸惑っていたようだったが、
すぐに長い腕で震える私を包み込み、
そして子供をあやすように私の背中をポンポンと優しく叩いた。


「なんだ、そんなに怖い夢だったのか? 子供みたいだな。」
「もう、どこにも行かないでね? ずっとここにいてね?」


私がよりキツく抱きつくと、彼は私に廻した腕に力を込めて応えてくれる。


「さっきからずっとここにいるじゃないか?
お前ってほんとにバカだな?」


しばらくの間、彼の体が当たる全てのところから、
彼の存在を感じ取りながら、
さっきまで私の心に渦まいていた喪失感を消し去ろうと、
彼に抱きついたまま泣き続けた。






ひとしきり泣いて、少し落ち着きを取り戻した頃、
孝天は私を自分の腕から離し、寝室に消えていった。
私の中にまた不安の波が押し寄せてきそうになった時、
彼は自分のシャツを一枚手に取って、寝室から出てきた。


「ほら、着ろ!行くぞ!!」


その手に持ったシャツを、私めがけて投げてよこすと、
ぶっきらぼうに彼が言う。


「え・・・?どこに??」


不思議そうに言う私にチラっと目をやって苦笑いを残し、
玄関に向かって歩き出す彼。
私は彼と離れるのが怖くて、彼の放り投げたシャツを手に取り、
慌ててその背中を追いかける。
そして今度はいとも簡単に追いついた。




彼が私を連れて向かった先は、目と鼻の先にあるいつもの公園。
私と彼が出逢ったあの公園だ。
私が彼の行動の意味が解からず、ジッと彼を見上げていると、
彼が私の手にしっかりと握られたシャツを取り上げ、
私の背中にかけてくれながら、少し怒ったように言った。


「ちゃんと着ろよ! もう夏じゃないんだから・・・!
そんな格好でいると風邪ひくだろう!! ・・・ったく」


私は彼がかけてくれた、かなり大きめのシャツに袖を通す。
そして再び彼を不安な眼差しで見て、何か言おうと口を開きかけた時、
彼が空を見上げながら言った。


「あぁ、今日は満月だったんだな。
こんなことならカメラ持ってくるんだった。綺麗だな。」


私は、そう言って月の灯りに照らされてる彼の横顔に見とれていた。


月を眺めている孝天の方がきれいじゃない・・・☆


そう思って彼を見つめていると、自然に笑みがこぼれた。
そんな私の視線に気付いた孝天が、照れ臭そうに言う。


「なんだよ・・・?」
「ううん、なんでもない♪」


いつもと変わらない彼が嬉しくって側に駆け寄る私の頭を、
いつものように撫でながら、彼は少し笑いながら言った。


「やっと笑ったな?」
「ん。フフ♪」


そして二人でまた月を眺める。
雲ひとつかかっていない綺麗な月を・・・。
私は心の中で祈った。


どうか孝天がずっと変わらず私の側にいてくれますように☆


そう願いながら目を閉じていると、不意に軽く頭を小突かれる。


「勝手に不安になるな! 俺はずっとお前の側にいる。
約束する。アイツが証人だ。」


そう言って彼が指差す先を目で追うと、そこには月が輝いていた。


「でも・・・月は欠ける時もあるし、
なくなっちゃう時もあるんだよ?」


不安な眼差しで彼を見上げる私。
すると彼が、いつものように私を呆れた顔で見下ろしながら言った。


「お前って、ホントに限りなくバカだな?
月は欠けてるように見えても、たとえなくなったように見えても、
ただそう見えるだけで、ホントは必ずそこに存在するんだ。
なくなることなんてない。
お前、そんな事も知らないのか? バカ!」


ホォっとした顔で見上げる私の肩を彼が抱き寄せ、再び月を見上げる。
いつもより暖かく感じる彼の温もり。


これは夢のなせるわざなのか、それとも少し冷たい風のせい?
月に照らされた彼の顔を一頻り見た後、私もまた月を見上げる。


秋の風が吹く中、こうして二人で見上げた月を、私は一生忘れないだろう。


またひとつ、「心の景色」が増えた。
幸せな「心の景色」・・・。


「寒くなってきたな。帰るぞ!」


そう言って先に歩き出した彼の手につかまり、彼の顔を見上げると、
月明かりに照れた彼の顔が浮かび上がる。


「ねぇ、孝天?」
「ん?」
「私、孝天のこと、大好きだよ♪」
「バカか、お前は・・・。」



二人が歩く月夜に、秋の匂いの風が吹く。


でも私はもう寒くない。
彼の温もりに包まれているから・・・・・。

                        ~END~







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