ここはF4のことが大好きな私たちの頭の中で、日々繰り広げられているF4ワールドを公開している ブログです。 よろしければ一緒にスーワールドへ、迷い込みませんか?

『そこにある幸せ』   ~ scene 1 ~

...2009/03/02 00:53...

「ただいま~!!」



私は勢いよく開けるなり大きな声で、そこにいるはずの彼に声をかける。



「ねぇ、孝天、孝天!!
 新しい写真雑誌出てたから買ってきたよ!!」



テーブルの上に、雑誌の他、買ってきたものをビニール袋から次々と出しながら、
足元に寄ってきたメイにもご挨拶。



「ただいま♪ ちゃんとメイのも買ってきたのよ。大好物のネコ缶♪
 ねぇ、ご主人さまはどこなの?? またどっか出かけちゃった??」



私の言うことなど聞いていないかのように、メイは私の足に頭をひとこすりすると、
またさっきまで眠っていたソファの上に戻って行った。









「もう、冷たいな~。
 ホント、孝天どっか行っちゃったのかな??」



私は不思議に思いながらも、なぜか心の中がスッキリしなかった。



その理由は、ここ最近の孝天の態度にある。
最近の彼は、何かいつもと様子が違った。



これは私が感じることだから、とりたてて「ここがおかしい」と言えるものではなかったが、
なんとなくいつもの孝天とは違うように感じるのだ。




ここのところ、あまり家にいることがなくなった孝天。
以前は撮影に出かけるか、買い物以外は、家にいることが多かったのに・・・・。
例え家にいたとしても寝室に一人こもっていたり、
ソファに座ってボォ~っと考え事をしていることが多くなった。


時々私が声をかけると、まったく聞こえていないかのように空を眺めていたり、
反対に飛び上がるくらいビックリするのだ。




そんな事がもう数週間も続いているこの頃、
私は、ひょっとして何か悩み事があるのか、体調が悪いのかと気が気じゃなかった。



「ねぇ、孝天。 出かけちゃったの・・・・??」



寝室のドアをそっと押し開けながら呼びかけてみる。
するとそこには、いつものようにベッドの縁に腰掛け、
何かを考え込んでるような孝天がいた。



「なんだ~、いるなら返事してよ。」



私はできるだけ明るい声で彼に呼びかける。
すると、ハッとした彼が振り向いた。



「あぁ、悪い。 なんだ?」



そう言った彼の顔は、何かに憑かれているかのように影がある。



「孝天がいつも読んでる写真の雑誌が出てたから買ってきたよ♪
 それとコーヒーでも入れるから、一緒に飲まない??」

「ああ・・・・。」



短く答えた孝天の顔を、不安な思いで見つめる私。



リビングに移動し、いつものようにソファに座った孝天が、
また考え事をしている。
そして、ため息をひとつ漏らした時、
彼の携帯が不意に鳴った。



携帯を手に取り、ディスプレイで発信相手を確かめた孝天は、
また慌てて寝室に消える。



いったい誰からだろう??



彼の携帯が鳴ること事体、そうあることではなかったし、
誰かからかかってきたとしても、私に隠れて話をするようなことは一度もなかった。



彼のために入れたコーヒーがマグカップの口から、
悲しそうに湯気をたてている。
そして、そのマグカップに孝天が口をつけることはなかった。








数時間後、やっと寝室から出てきた孝天。
やっぱり暗い顔をしている。



「ねぇ、孝天。 何かあったの?? 心配事??」



彼はソファに座り、考えこんでいたが、
ようやく顔を上げ、何かを決意したように私を見つめた。



「今晩、俺はこの家を出て行く。 別れよう。」



え? なに??



その瞬間、二人の周りの空気が凍り、時が止まった。
頭をガーンと殴られたように、ズキズキする。



私は彼が何を言っているのか、さっぱり理解できないでいた。
まるで孝天が、いきなり外国の言葉を話し出したように感じた。



「孝天・・・・何言ってるの?」

「別れようと言ってるんだ。」



なぜ?? 何があったの??



今までも、彼が私の傍を離れるんじゃないかという不安はいつもあった。
でもその時がこんなに突然訪れるなんて・・・・。



慎重な彼がこんな事を言い出すのだから、きっと何か理由があるに違いない。
でも今の私には、彼を理解しようという余裕すらなかった。
とにかく孝天が私から離れたいと言っているのだ。



「ちょ・・ちょっと待って!
 なんで?? なんで別れようと思うの?
 何か私がいけない事した??
 どこがいけなかったの??」



孝天は叫びにも近いそんな私の問いかけを、
黙ってうつむきながら聞いていた。



「ねぇ、孝天!! なんとか言ってよ!!
 理由がわからないんじゃ、私も納得できるわけないじゃない!!
 どこがいけなかったの?? 私の何が悪かったの??
 何も言ってくれないんじゃ、直しようもないでしょ?!」



私は孝天の傍に駆け寄り、彼の腕を掴んで問いかける。
頭の中は真っ白だ。
一瞬、唇を噛みしめる彼。



「・・・・・疲れたんだ。
 もう終わりにしよう。」



私の腕をそっと引き離すと、彼はまた寝室に戻って行った。
私はそんな孝天を追いかけることさえできず、
ただただ呆然とその後ろ姿を見ていた。
不思議と涙は出てこない。




しばらく経って、寝室から出てきた孝天の両手には大きな荷物。



「どこ行くの・・・??」

「後の荷物はそのまま置いて行くから、
 お前が使いたいなら使ってくれてもいい。
 メイは俺が連れて行く。」

「どこに行くのよ・・・。」



うなだれた私は、もう何がどうなっているのかを考えることもできないでいた。



「この部屋を出て行くなら、それでも構わない。
 大家には話をつけてあるから、出て行きたい時に出て行ってくれ。」

「どこに行くのかさえ、教えてくれないの?」

「知らない方がいい事もある。
 ・・・・・じゃ、元気で。」



彼はメイに近づいていくと、彼女を抱いてリビングを後にする。
玄関で靴を履く音。
そしてドアが開く。



「孝天!!」



一瞬、出しかけた足を止める孝天。
私は玄関にたたずむ彼が見えるところまで走って行った。



「ねぇ、私が邪魔になったの?
 私があなたの重荷になってたの??」



孝天は決して振り向かなかった。
少し俯いて沈黙したまま、わずかな時間が過ぎる。
私は心の中で、こんな時間でもいいから二人の時間がずっと続いてほしいと願った。
でもその願いは無残にも打ち壊される。



孝天はそのまま言葉を発することなく、そのドアを出て行った。
ドアが閉まる重い音が、私には死刑判決のように聞こえた。






どうして、どうして、どうして・・・・・・??



その疑問だけが私の頭の中を駆け巡る。



私はその場に崩れるようにして座り込んでいた。
いつまでも・・・・・。








何時間経ったのか・・・。
気がつくと、部屋の中は真っ暗な闇に包まれていた。



今、何時なんだろう・・・??



私は力なく立ち上がり、そしてリビングに向かう。
手探りで電気のスイッチを探りあてた私は、電気をつける。
パッと明るくなった瞬間、真っ暗な中に長時間いた私は、
眩しくて目を開けていることができなかった。



一瞬固く閉じた目を、少しづつ細めながら開けていくと、そこには・・・・・。



孝天がいつも立っていたキッチン。
調理中に入るといつも邪魔だと怒られた。
私は彼が料理をする時の後ろ姿がすごく好きだった。



リビング。
ソファに長い足を組んで座りギターを弾いたり、
本を読んだり、メイと遊んだり・・・・・。
ソファの前に座る孝天の足の間が、私の安全地帯だった。
そこに潜り込めば、それだけでホッと安心できたから・・・・・。



ステレオ。
その傍にある数え切れないくらいのCDは孝天の宝物だった。
私がいろいろ訊ねると、「音楽は感じるもんだ。知識はいらない。」と言っていた彼。
これも置いて行っちゃったんだ。



彼の残していったものをひとつずつ、
彼を感じるようにそっと触りながら部屋の中を歩く。



寝室。
よくリビングでうたた寝をした私を、ベッドまで運んでくれたっけ。
夜中に目覚めた時、孝天の寝顔がそこにあると、
それだけで安心してまた眠りにつけた。
彼の鼓動と吐息が私の子守唄だった。





寝室の窓から外を眺めると、
そこにはまん丸な月が私を見下ろしている。





「勝手に不安になるな! 俺はずっとお前の傍にいる。
 約束する。 アイツが証人だ。」





月を指差し、そう言った孝天。





嘘つき・・・・・。
できない約束なんてしないでよ・・・・。






すると、私の頬に暖かいものが伝い落ちた。



涙だ。



私はそれから堰をきったように泣き続けた。





もう孝天は私の傍にはいない。
今もこれから先もずっと、彼は私の横にはいないのだ。



あの優しく包んでくれた長い腕も、
涙をそっと拭ってくれる綺麗な指も、
魔法をかけてくれるあの心地いい声も、
私を見つめる深く澄んだ瞳も・・・・・・。



私は永遠にそれら全てを失ってしまった。
二度とは戻ってこない。
二人が過ごしてきたあの時間を、二度と取り戻すことはできないのだ。





私の上に避けては通れない事実がのしかかり、
私の全て、私の何もかもを押しつぶしてしまいそうだった。






これは夢ではないのか。
涙いっぱいで目が覚めたら、
彼が「子供みたいだな」と呆れ顔で微笑んでいてはくれないだろうか?



夢ならどうか早く覚めて!!
そして早く私を彼の元へと返して!!




いくら泣いても叫んでも、
いっこうに覚めることのない悪夢・・・・・。



私はそんな悪夢の中で、もがくこともできず、
ただただ流されていくより他なかった。




そんな私を眺めるように、
いつか二人で眺めた月が、一人ぼっちの私を照らし出していた。




~~to be continue~~





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