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『そこにある幸せ』  ~ scene 3 ~

...2009/03/02 01:04...

眠れない夜を枕を抱いて過ごした後、一睡もできずにやっと迎えた朝。
胸の痛みは治まらなかった。



不安と恐怖が体中に覆いかぶさってきて、
私の中の何かをえぐり出そうとしている。
そのたびに私の心が悲鳴をあげたくなるほど痛む。



朝の爽やかな光を受けても、そんな感じは治まらなかった。







ガンガンと鐘が鳴るように響く頭を抱え、
私は会社へと向かう。



「おはよう!」



オフィスのドアを押し開け入る私を待ち構えていたように、
ヴァネスが奥から駆け寄ってきた。



「おはよう。」



私はできるだけ平静を装い、彼に微笑みかける。
自分ではその笑顔も少しこわばったように感じたが、
ヴァネスはホッと安心したように、私の頭を撫でる。



「昨日はどうしたんだ??
 あれから心配して、何度も携帯鳴らしたんだぞ。」

「ごめんね。きっと食べ過ぎたんだと思う。
 ちょっと欲張り過ぎちゃったかな。」

「今日はどう?? もう大丈夫?」

「うん、もう大丈夫よ。
 心配してくれてありがとう。」

「ならいいけどさ。 
 なんかあったら、スグ俺に言えよ?」

「うん・・・。」



気のせいかもしれないが、彼の傍にいると胸の痛みが大きくなる気がする。
彼の声が頭の中でガンガンと鳴り響き、胸の奥がズキンと痛むのだ。
そして、それと同時に妙な違和感が体中に駆け巡っていた。



「俺、今日は残業しないようにするからさ、
 お前も今日はほどほどにして、早く帰ろう。
 送っていくよ。」



昨日までなら、ヴァネスのこんなささやかな心遣いが本当に嬉しかった。
でも今は、彼の傍にいることが怖い。
自分を支えていたものが、ガタガタと崩れ落ちてしまいそうな、
そんな不安が私を襲うのだ。



「うん・・・・なるべくね。」



私は曖昧な返事を残し、オフィスへと向かった。













その日の夜、私はいつもどおり残業をこなしていた。
ヴァネスが夕方頃、様子を伺いに来てくれたのだが、
やっぱり仕事が片付かないからと、彼の優しい心遣いを断り、
デスクの前に座っている。



「そうか・・・。」



そう一言残して立ち去る彼の後ろ姿が心に刺さり、またも胸が痛んだが、
彼が離れるとなぜだかホッとして、体中の力が抜けた気がした。







「さて、そろそろ帰ろうかな。」



ようやく仕事の区切りがついて腰を上げた時、
オフィスのドアが開き、誰かが入って来る。



ヴァネスだ。



「やっと帰る気になった?」



微笑む彼の顔が、薄暗いオフィスに優しく浮かび上がる。









「ごめんね、今日も送ってもらっちゃって・・・」

「いいよ、俺が心配だっただけだから。」



私の一歩前を歩く彼の広い背中が、リズムをとるように軽く揺れている。



「ね、お前さ、なんかあった?」



ふと振り向いた彼が、真剣な顔で訊ねる。



「え・・・? なんで??」

「いや、なんか昨日から様子がおかしいからさ。」



真っすぐに私へ向けられる視線が痛い。



「なんもないよ。 ヴァネスったら、心配症ね。」



「ふぅ~ん」という顔で、私の瞳を覗き込むヴァネス。
その視線にぶつかった時、
私はなんとなく、自分が何かに壊されるような危険な予感がしていた。



また私に背を向けて歩き出した彼。
その背中が、私に罪悪感を抱かせる。



ヴァネスが悪いワケじゃないのに・・・・・。
ヴァネスは本当に私のことを心配してくれているのに・・・・・。



「あっ!!」



そんな彼の背中を見ているのが辛くて、
自分の足先を眺めながら歩いていた私は、
彼の叫びに驚いて、再び彼に視線を戻す。



「ほら、見て! 
 今日は満月だったんだな。」



彼が指差すその先を見上げると、
そこには雲ひとつない濃紺の空に、白く光るまんまるな月が浮かんでいた。



ズキン!!



痛い!! またあの痛みだ。



私は思わず、胸を押さえてその場にうずくまった。



「おい!! どうしたっ?!」



ヴァネスが駆け寄り、私を支える。
でもそんな彼の行動は、私の内側から沸き起こる痛みに拍車をかけた。



「お願い・・・放っておいて!」



一言だけそう告げると、私はまた彼から逃げ出した。
胸の痛みはどんどん増すばかりだ。
早くあの家に帰らなくては・・・・!!



私は夢中で走る。
足元に力が入らなくて、今にも崩れてしまいそうになりながら・・・。



「あっ!!」



私が何かにつまづき、地面が目の前に迫ってきた瞬間、
誰かに手をとられ抱き締められる。



ヴァネスだった。



私はうねるような痛みと大きな不安で、何も考えられず、
その大きな胸に抱きすくめられたままだ。



「お前、いったいどうしたんだよ!!
 俺はどうしてやればいいんだ?!」



彼の声が胸を伝って耳に届く。
何か懐かしい感じがした。
この感情はなんなんだろう?



しばらく脱力したまま、何も言わない私にヴァネスが呟く。



「お前が好きなんだ・・・。」






ズキン!!






今まで感じてきたものを遥かに超える、経験したこともない痛みが、
胸の奥を中心に体全体に広がった。








思い出した。
ようやくわかった。








この痛みは、私自身の後悔の念が生み出す痛みだ。






ヴァネスの腕。
ヴァネスの胸。
ヴァネスの鼓動。
ヴァネスの息遣い。
ヴァネスの声。





違う。
何もかもが違う。





私が求めてやまないのは、この腕じゃない。
私が抱き締められて安心できるのは、この胸じゃない。
私を深く心地いい眠りに導くのは、この鼓動じゃない。
私の胸をドキドキときめかすのは、この息遣いじゃない。
私の奥の奥まで響き、涙が出るほど心震えるのは、この声じゃない。





孝天・・・・・・。





さっきまで、霧がかかったように思い出せなかった孝天との思い出が、
湧き水のごとく、私の脳裏を駆け巡る。
それと同時にむせ返ってしまうほどの涙が、溢れ出した。



人間というのはどんな状況下にあっても、
本能的に生きようとするものらしい。
辛い現実が生きることを阻もうとすれば、
その現実すらなかったことにしてしまうのだ。



あの時の私は、
孝天との思い出を背負って生きていけるほど、強くはなかったようだ。










「お前のために何かしてやりたんだ。
 俺じゃダメか・・・・??」



自分の腕の中で体を震わせて泣く私を、
ヴァネスはどうしていいのかわからない様子だった。
それでも彼はそんな私を、優しく強く抱きしめ続けてくれている。



これ以上、この人に甘えちゃいけない。
これ以上、この人を傷つけちゃいけない。



自分の本心が見えた今、私が彼に言えることはひとつだけだった。



「ごめんなさい・・・・・。」








ヴァネスと別れた後、私は孝天との思い出の家に帰り、
思う存分泣いた。



思い起こしてみれば私はあの別れの夜以降、涙を流していない。
感情が麻痺していたかのように、何も感じなくなっていたから・・・・・。



孝天との何もかもが詰まったようなこの家。
もうこれから先、ココから一歩も出られないような気さえした。



寝室の窓からは、何もかもを照らし出すような秋の月。
穏やかなその顔が、私には突き刺さるような気がした夜のこと・・・・・。





                        ~~ to be continue ~~






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