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『雨』

...2009/03/02 22:55...

休日の午後。
私はリビングのソファに座り、窓の外に広がるグレーの空を眺めていた。



窓ガラスには雨の雫。
耳には雨だれの音。



雨なんて大っ嫌い。







降り頻る雨の音に苛立つ気持ちを抑えながら立ち上がり、
彼の残していったCDをかける。
そうすれば少しは落ち着き、
彼の腕に包まれているような気分になれる気がしたから・・・。



でも、気持ちは苛立ったまま。
またスグにステレオの電源をおとし、
心を重くする雨を、再度睨みつけた。



ソファに座り、クッションを抱え、
少しでも気持ちが晴れるようにと、彼のことを思い出す。



あ~あ、孝天、今頃何してんだろう?
またあの大きな青い空を見上げて頑張ってるのかな??
私も頑張らなくっちゃいけないな~。
でも雨が降ってる間は、孝天とおんなじ空を眺めることができない・・・・。



テーブルの上に放り投げられた携帯を、恨めしい気持ちで見つめる。



孝天ったら、もう出発してから何週間も経ってるっていうのに、
1本の電話もよこさないんだから・・・・・!!



すると、いきなり携帯が鳴り出した。
思わぬ着信に、心臓が飛び跳ねる。
慌ててとると、電話の向こうからは懐かしい声。



「おう。」



孝天だった。
いつもの事ながら、素っ気ない。



「うん。」



でも、そんな素っ気のない声が、いつもどおりの彼を感じさせてくれ、
安心に思わず涙が出そうになる。



「ちゃんと飯食ってるか?」

「うん。」



喉の奥に何かがつかえて、言葉が出て来ない。



「なんだ、元気ないな。」

「うん・・・・・。」



携帯をできる限り耳につけ、
彼の漏らす息遣いのひとつさえ、聞き漏らさないように集中する。
彼のことだから、この声をもう一度聞けるのはいつになることかわからないから・・・。
言いたいことはたくさんあったが、
今は彼の声で、この憂鬱な気持ちを消し去りたかった。



「・・・・なんだ??」

「ね・・・・もっと話して。」

「何を?」

「なんでもいいから・・・・お願い。」



私の声が次第に震え、かすれてきた。
これでは泣いてしまいそうな私に気付かれてしまう。



彼の長い息がふぅ~と携帯の向こうから聞こえた。



「どした? 何かあったのか??」

「雨が・・・・。」

「ん?」

「・・・・・雨が耳障りだから。」



私、変なことを言ってしまったんだろうか?
きっとそうだ。
孝天は呆れ果てているに違いない。



少しの間の沈黙が、私の心を後悔の念でいっぱいにさせた。



「雨か・・・・奇遇だな。」



思いもかけない言葉。
小さく聞こえる彼の含み笑い。



「え?」

「こっちも今日は雨なんだ。」

「そうなの??」

「ああ。」



雨・・・・・。
そっか、孝天のいる地球の果てにも、今、雨が降ってるんだ。



たったそれだけのことなのに、
少しだけ心の重りが軽くなったような気がする。



「雨・・・嫌いか?」

「・・・・・うん。」

「・・・・・じゃ、目を閉じてみろ。」



孝天の言葉に驚き一瞬戸惑ったが、
私は彼の声に魔法をかけられたように、目を閉じる。



「雨の音が聞こえてくるだろ?」

「うん。」

「どうだ?? 雨の音にもリズムがあるのがわかるか??」



雨のリズム??



彼の言っている言葉の意味がつかめず、
パッと目を開き、唖然とする私。



「目を閉じろと言ってるだろ!」



まるで私を影から見ているかのような言葉に、
慌てて再び目を閉じた。
そして雨の音に全神経を集中させる。



ポツーン、ポツーン・・・・
ピチャピチャピチャピチャ・・・・・
サァー・・・・・



確かにそれぞれが独自のリズムを刻んでいる。
それが重なり、私の耳に、まるでオーケストラの演奏のように広がった。



「ホントだっ!! うん、確かにリズムがあるね!」

「だろ?」

「うん・・・・・こうやって聞いてると、すごく面白い!」

「ああ、自然界の大演奏だ。 
 こんなのは雨の日にしか聞けないんだぞ?」



いかにも孝天らしい感じ方。



多くのものを欲しがらず、今、自分の周りにある幸せを見つける。
何にでも多面性があることをちゃんと知っていて、
いつもできるだけいい方向から物事を見ようとする彼の考え方。



私には鬱陶しく聞こえる耳障りな雨音さえも、
彼の耳には心地いい音楽に聞こえるのだ。



「・・・・孝天も、今、聞いてるの??」

「・・・ああ。」

「なんだか嬉しいねw おんなじ時に雨の音を聴いてるなんて・・・。」



かすかに聞こえた彼の笑い声。



「・・・・ね、どうして電話してきてくれたの?」

「・・・・・・・。」



なぜだか急に問い詰めたくなった。



「ねぇ、どうして??」

「・・・・・お前のため息が聞こえた気がしたから。」



もう何度、この人のこんな鋭さに救われてきたのだろう?
きっと彼は、私の全てが映る鏡を持っているに違いない。



「じゃ、もう切るから。 またな。」

「またって・・・・いつ??」

「・・・・・さぁな。
 またお前のため息が聞こえたら連絡する。」



彼にはかなわない。
さっきまで泣き出しそうだった私の空は、
雲が切れ、陽が差し込み始める。



「じゃ・・・・・毎日、ため息ついてやる!」



彼の豪快な笑い声が聞こえた後、
短く「じゃ!」と言って切れた電話。



「あ~あ・・・・切れちゃった。」



携帯を強く握り締めたまま、
私はまた窓からの空を眺めた。



グレーの重い雲からは、しばらくやみそうにもない雨が降っている。



「孝天も雨の音、聞いてるのよね・・・。」



しばらく彼のことを考えながら立ち尽くしていた。



すると・・・・。



ピンポーン。



慌てて玄関に飛び出ると、小さな包みを持った郵便屋さん。



「速達です。」



不思議に思いながらも、リビングに持って行き差出人を見る。



「孝天?」



慌てて小包を開けてみると、かすかに異国の匂い。
そこにはたくさんの写真が入っていた。



キレイ・・・・♪



床に一枚一枚を広げながら、彼の目で見る世界に入り込んでいく私。
どれもこれも空の写真だった。



そう言えば、出発前に言ってたっけ。



「お前に空を送ってやるよ。」



こういう意味だったんだ・・・・♪



どんどん床が空で埋められていく。
そこで、ふと不思議な気持ちになってきた。



あれ?? この写真、青空ばっかりだ・・・・。



少し考えた後、慌ててPCを立ち上げた私。
インターネットで彼の行っている国を調べてみる。



・・・・孝天・・・・・嘘ばっかり。



彼がいる国は熱帯地域で、滅多に雨は降らない。
雨が降るのは雨季だけしかないのだが、今は乾季のはず。
雨など降るわけがないのだ。
念のため、向こうの地域の天気も調べてみた。
世界地図の上、彼のいる国の上にはお日さまが点滅している。



「あはは・・・・・w」



私の顔には笑みがこぼれ、それと同時に頬には一筋の涙も伝った。



ありがと、孝天。



普段、嘘をつかない彼の小さな嘘。
そんな嘘が私の心に青空を運んで来てくれた。
遠くにいても私の心を見透かし、包み込んでくれる孝天。



私、すっごい人を好きになってしまったのかもしれない・・・・。



さっきまでの憂鬱で重い気持ちが、フッと晴れたような暖かい気分。



ソファにもたれながら、床に広がった青空を眺め、
そして雨だれのオーケストラを聴いていると、
フワフワと夢の世界に誘い込まれる。



窓の外は雨。
母親の胎内で大きな海にスッポリと包み込まれているかのような、
そんな心地よい気持ちになれたある午後の出来事・・・・・。




                      ~~ END ~~





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