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『ジグソーパズル』

...2009/03/02 23:04...

さっきまで降っていた雨もやみ、光の差し込みだした午後の部屋。



ソファーの前に座り込み、手に持ったピースを、
右に左に方向を変えながら、あちこちのくぼみに当てはめてみる。



「おかしいな~。この色はこの辺にハマるはずなんだけど・・・。」



一人、首をかしげながら、
違うピースを積み上げられた青い山から取り出し、またハメてみる。





ジグソーパズルは、ココ最近の私の楽しみだった。



はじめは、孝天がいなくなった後の単なる暇つぶしだったハズなのだが、
やってみるとなかなか面白く、時間が経つのも忘れ熱中してしまっている。
今ではもう、少しでも時間があると、ここに座って紙の欠片をハメる事に没頭していた。








「んも~。 コレもハマらない・・・・。」



溜息をつきながらも、次のピースを手にとる私。



「よぉ~~しっ!! 今度こそっっ!!」



また右に左に頭を傾けながら、うねった形のくぼみに順番にハメていく。



そうしてムキになっていると、突然私の上から形のいい大きな手が伸びてきて、
私が手にしていた一片のピースをさらっていった。



ビックリして見上げると、そこには見慣れない大男が・・・・・。



その姿に心臓が止まってしまうかと思うほど驚き、口もきけず固まった私。
そんな私を気にも留めず、その大男は切り取られた絵の中にいとも簡単にピースを当てはめると、
呆れたように口を開いた。



「お前は強盗が入ってきても気付かないな。
 鍵ぐらいかけとけ。 でなきゃ殺されちまうぞ。」



聞き覚えのある声。
いや、その声は聞き慣れた懐かしい声だった。



「・・・・孝天っっ?!」



私は驚きのあまり、口をポカンをと開けたまま、
彼の顔をただただ眺める。



「その顔は・・・俺だと気付かなかったって顔だな。
 ま、無理もないか・・・w」



そう言って照れくさそうに笑ったその顔は、
まぎれもなく、会いたくて会いたくて、毎日再び会える日を待ちわびていた彼の顔だ。
でも、その風貌は一目ではわからないくらい変わってしまっていた。



髪も髭も伸び、顔は日に焼けて真っ黒。
髭に隠された輪郭は、ビックリするくらい痩せて見える。



「孝天、どうしたの?」

「なにが?」



事も無げに答えた彼の声が、気のせいかいつもより弱々しく聞こえる。



「だって・・・・急に帰って来るんだもん。
 ね、少し痩せたんじゃない? 体の調子が悪いの??
 だから帰って来たの・・・・??」



彼を見上げながらそう言った私の声が震える。
嬉しいのか、悲しいのか。
自分で自分の感情がわからなかった。
まるで夢を見ているようで、でもそこに彼がいるのは現実で・・・・。
頭の中は混乱し、何をどうしていいのか戸惑うばかりだ。



そんな私の表情を見て、孝天がフッと微笑み、優しく頭を撫でる。



「ただいま。」



今、孝天が私の目の前で笑っている。



いろんな思いが頭の中を駆け巡ったが、
もう彼と私の間に、その真実以外何もなかった。



私は立ち上がり、溢れる想いのまま彼の胸に飛び込む。



「孝天っ!!」

「うっ・・・・。」



キツく抱きしめた彼が発するうめき声に、
私はハッとして体を離し、彼を見上げた。



「・・・・孝天??」

「・・・・っつ。 ・・・・大丈夫だ、なんでもない。」



苦痛に歪む彼の顔。



「どうしたのっ?!」

「なんでもない。 
ただの疲れだ。 シャワー浴びてくる・・・。」



薄く微笑みを浮かべ、そう言ってバスルームに向かうその後ろ姿を、
私は何も言えず、ただ見送っていた。







彼がシャワーを浴びている間、
ジグソーパズルの前に座り込んだまま、動けなかった私。



孝天に何かあったのだろうか?
だいたい、なぜ急に帰国したのだろう?
出て行く時には、いつ帰ってくるとも言わなかった孝天。
何か急に帰ってこなくてはいけない事情でもできたんだろうか?



「ハァ~。 やっぱり家は落ち着くな。」



しばらくしてバスルームから出てきた孝天が、
バスタオルで髪を拭きながら、気持ち良さそうに言う。
髭もキレイに剃り、スッキリとしたその顔は、
さっきまでの大男とは別人のようだ。
思ったとおり、出て行く前と今とでは、人相も変わって見えるほどすっかり痩せていた。



「ねぇ孝天、何かあったんでしょ?
 だから帰って来たのよね? 何があったの??」



心配そうに顔を覗き込む私の頬に、そっと触れる彼の指先。



「お前が心配することなんて、何もない。」



そう言った彼は、不安気な私の視線を避けるかのように、
スグに背を向け、寝室へと向かう。



「少し寝かせてくれ。 時差ボケなんだ。」



そう言い残すと寝室に入り、後ろ手にドアを閉める孝天。
その瞬間、また苦痛に歪んだ彼の顔が見えた気がしたが、
私はなぜだか何も言うことができなかった。



なぜだろう?
確かめるのが怖いのか・・・・。



彼の瞳が「何も聞くな」と言っていた。
彼の背中が「何も言うな」と私を拒んでいた。



私はいつまで経っても、
心配することさえ許してもらえない存在だった。







何もできず落ち着かない私は、孝天が起きてきたら、
せめて夕食でも食べさせてあげたいとキッチンに立つ。



戦地にいる間は、きっと心を休めている暇もないだろう。
せめて私の傍にいる時ぐらいは、ゆっくり休ませてあげたい。
それが私にできるたったひとつの事だから・・・・・。



そんな時、ふいに電話が鳴り、その音に驚いた私は、
手を拭きながら慌ててキッチンを出る。
早く取らないと孝天が起きてしまうから・・・。
私は受話器に飛びついた。



「ハイ、もしもし!!」

「あ、朱孝天さんのお宅ですか?」

「はい、そうですが・・・。」



電話の向こうからは、聞き覚えのない男の人の声。



「あの~、私、孝天さんのアシスタントをさせて頂いてる者なんですが、
 先生はそちらの方にお帰りでしょうか?」

「あ・・・はい。 今、休んでいますけど・・・。」

「あ~、やっぱり・・・。
 あれほど、ちゃんと病院に行って下さいって言ったのに・・・。」



溜息雑じりのその人の言葉に、一瞬息を呑む私。



「えっ?! あの・・・病院って・・・・?」

「えっ?! 先生、何もおっしゃってませんでしたか??」

「ええ。 何も聞いてないんですけど・・・。
 彼・・・孝天はどっか具合でも悪いんですか?!」



受話器の向こうで口ごもるその人を、急かすように問い詰める。



「教えて下さいっ!! 孝天に何があったんですかっ?!」



アシスタントと名乗るその人は、私のたたみ掛けるような質問の勢いに押され、
もそもそと話し始める。



「実は先生、流れ弾に当たったんですよ・・・。
 胸の辺りを怪我してるんです。」

「えっっ?! 孝天が?!」



途端に私の心臓が、痛いほど強く早く打ち始める。
そして全身の力が抜けたと思った瞬間から、
体の至るところが、小刻みに震えだした。



「はい。 こっちでも病院に担ぎ込まれたんですが、
 先生はみんなが止めるのも聞かず、勝手に退院しちゃって・・・。
 手術はしたんで弾は残ってないんですけど、
 傷が塞がるまで、しばらく安静にしてなきゃいけないのに・・・。」



私はまるで映画の中のことのように、
受話器の向こうの声を聞いていた。
耳の奥の方で耳鳴りがする。
頭の中は真っ白になっていた。



流れ弾・・・・・孝天が・・・?
嘘でしょう・・・・??



「もしもし?? もしもしっ?!」



いつしか受話器は私の手を離れ、足元に転がった。
受話器の向こうの声がどんどん遠ざかっていく。



彼がカメラを向けている世界がどんなところなのか、
充分に理解し、わかっているつもりだった。
もしかしたら彼を永遠に失ってしまうかもしれない不安に
押し潰されそうになったことも、一度や二度じゃない。



けれども、今この瞬間、初めてわかった気がする。
ドラマや作り事ではない現実を、頭ではなく感覚として・・・。



嘘よ・・・だって、孝天は何も言わなかったもの。
さっき、私の頭を撫でながら笑ってたじゃない。
そんな映画みたいな話、嘘に決まってる・・・・。



私は嘘とも真実ともとれない今の状況を、
受け止められずにいた。












寝室のドアをそっと開けてみる。
孝天はベッドの上で、静かに寝息をたてていた。
お腹の上に置かれた彼のキレイな手が、
呼吸すると共に上下しているのを見て、ホッと安心する。



音をたてず彼に近づき、その安らかな寝顔を見つめる。
額には汗が光っていたが、私の目は彼の胸元辺りに釘付けになっていた。
シャツのボタンがふたつ外れていて、痩せたせいか彼の鎖骨が見えている。
私は眠っている彼に気付かれないよう、震える手をそっとボタンにかけた。



このボタンを外したら、赤く滲む白い包帯が見えるのか??
違う!! 
いつもと同じ、私を受け止める優しく逞しい胸が見えるだけだ・・・。



そう自分に言い聞かせながら、ボタンを外そうとしたその時・・・・!!



私の手は彼の大きな手で、強く掴まれた。
驚いて彼の顔を見ると、眠っていたはずの彼が私の顔をジッと見つめている。



「・・・・孝天・・・。」



彼はしばらく私の手を強く握っていたが、
私の瞳がみるみるうちに涙で膨らんでいくのを見ると、
苦痛に顔を歪めながらゆっくりと起き上がり、そして私を優しく抱き締めた。



「聞いたのか?」



彼の胸に響いて耳に届く深い声。
私はその言葉で、さっき聞いた事が真実だったことを悟る。
彼から漂う消毒液の匂いが、私の頭をより混乱させた。



堪えていた涙が堰を切ったように流れる。
胸の奥では自分でも抑えがたい感情の波が、
大荒れの海のように大きな音をたてて渦巻いていた。



もう、どこへも行かないでっ!!
ずっと私の傍にいてっ!!



心の底からそう叫びたかった。
けれども野生の鳥を飼えないように、
彼を私の傍に繋ぎとめておくことはできないだろう。
きっとそうすれば、彼は彼でなくなってしまうから・・・・。



自分の想いを口にできない苦しさは、想像以上のものだ。
どんどん膨れ上がる行き場のない感情に、私の心は押し潰され悲鳴をあげる。



いったい私はどうしたらいいの?!
こんな目に遭いながら、なぜ孝天はカメラを握らなきゃいけないのっ?!



私の心の叫びは、言葉の代わりに涙となって流れ落ちた。



「ごめん。」



彼の謝罪の言葉が、私の混乱しきった頭の中に響く。
この言葉は、これから先もこんな思いを抱え続けていかなくては、
彼の傍にはいられない事を暗示していた。



どんなに苦しく、辛い思いを抱えていても、
一度離れ、二度と会えないかもしれない恐怖を味わった私には、
彼の思いを受け止めるより他に、選ぶべき道はなかった。













ジグソーパズルの前に並んで座る二人。
目の前には不完全な形をした一枚の絵が、
月明かりに照らされ、私たちを眺めていた。



「これでホントに怖くなっただろ?」



孝天が自分の肩に預けられた私の頭に、口を寄せて小さく訊ねる。
答えは決まっているのに、私の心はいまだに複雑なまま。
なんと答えていいのかわからなくて、ただ黙って彼の声を聞いていた。



「悪いけど、それでもお前の事、手放す気はないから。」

「えっ・・・?」



思いがけない孝天の言葉に驚き、私は頭を起こして彼の顔を見つめた。
以前の彼なら私の意志を尊重し、私は辛い、苦しいと言えば、
きっと自ら黙って離れていっただろう。



けれど、今の彼は違っていた。
私が辛い思いをしてると知った上で、私を手放さないと言うのだ。



「いや・・・もう手放せなくなってる。」



ビックリした表情で自分を見つめる私を、
彼は苦笑いで見つめ返した。



「弾が当たった時、俺はもう今、この場所で死ぬんだと覚悟を決めた。
 けど、地面に転がり、薄れていく意識の中もう一度目を開いてみたら、
 俺の上に真っ青な空が見えたんだ。」



孝天は窓の外に広がる濃紺の空を、遠く眺めながら続ける。



「そしたらお前の笑顔が、その空に重なって見えた。
 こんなとこで死ねない。 もう一度お前に会いたい。
 そう思った。
 今までは何も怖いものなんてなかった。
 命を落とすことさえ怖くなかったから、かなり無茶もしてきた。
 けど、初めて思ったんだ。
 死にたくないって・・・・・。死ぬのが怖いって・・・・。
 お前がいるからだ。」



孝天が再び私に視線を戻す。



「だから俺はもう、お前を手放せない。
・・・・・こんなことを言う俺は・・・我がままか?」



私は堪えきれない涙を流しながら、頷く。
それが嬉しい涙なのか、悲しい涙なのか、自分でもわからない。



「うん、我がままだよね。
 でもしょうがないじゃない。
 そんな人を好きになっちゃったんだから・・・。」



伝えたい気持ちは山ほどあったが、もう答えは決まっていて、
彼に言えることはそれ以外になかった。
どんなに違う答えを求め、いろんな事を思ってみても、
答えを探っていけば、結局はそこに辿り着くからだ。



フッと泣き笑いになった私の顔を見つめる孝天の瞳は優しい。



「悪かったな、こんな男でw」



二人で瞳を合わせて微笑む。
こんな瞬間の為に、私は生きてる。
こんな瞬間があるから、私は生きていられるんだ。



「その代わり、もう何があっても二度と、
 私のこと放さないでよ?」



彼がそう言った私の顔を無言で見つめる。
この上もなく穏やかで優しい微笑を浮かべながら・・・。



「なぁ、・・・・・抱き締めてもいいか?」



こんな事を言うなんて・・・・。
ホントに彼の中の何かが変わったんだろう。



今までとは違う彼の言葉に、私の気持ちは複雑だったが、
彼の何がどう変わっても、愛おしいと想う私の心は変わらない。



「いいよ♪」という返事の代わりに、彼の足の間に潜り込んだ私。
そんな私を、今までとは違う孝天が抱き締める。
優しく、そして強く・・・・・。



私を腕に抱え、ギュッと抱き締めた彼が呟く。



「俺みたいな男のパズルにピッタリとハマるのは、
 お前のピースしかないのかもな。」



ふと振り返り、テーブルの上のパズルに目をやると、
彼が私を抱いたまま手を伸ばし、ひとつのピースをその絵にハメこんだ。
草原の上に広がる空が、そのピースでようやくひとつに繋がる。
そこには雲ひとつない青空が、草原に建つ小さな可愛い家を包み込んでいた。



「もうすぐ孝天のお誕生日だね。
 それまでには仕上がるかな?」

「さぁな。 お前のことだから、アテにはできないだろう。
ま、来年の誕生日にだったら間に合うかもなw」

「ヒドイ・・・。」



そう言った私の頭を抱えて笑う孝天。



今は私の傍にいる。
そして同じ時を刻んでいる。
そんな安心感に、涙で濡れた私の顔も、いつしかほころんでいた。



ずっと怪我が治らなきゃいいのに・・・。



そんな心の呟きを、彼の体温が後悔させる。



そんな事、考えちゃいけない。
彼が彼らしく生きていけることを喜べるように、
私ももっと強くならなくちゃ。
彼が疲れて壊れそうになったら、包み込んで守ってあげられるくらい、
私がもっと大きくならなくちゃ。



「いつか二人で、ここに行ってみたいな。」



パズルの上に指を滑らせながら私がそう言うと、
孝天がその指の上に自分の手を重ねる。



「そうだな。 いつか行こう、二人で・・・。」



今まで決して約束らしきものをしようとしなかった孝天。
きっと彼の中で、いつでも私が離れられるようにと、
将来での繋がりをわざと作ってこなかったに違いない。



そんな孝天が初めて交わした約束。



それは生と死の狭間で、
何かが変わった彼のひとつの決意だったのかもしれない。



少しずつ強く、固くなる二人の絆。
少しずつ形が変わっていく二人の関係。



単に月日を積み重ねるだけでは、
きっとこうはならなかっただろう事を考えると、
心の中は複雑だったけれど、今の私は素直に嬉しいと思えた。
彼がココにいるから・・・・・。







その日、久しぶりに彼の腕の中で見た夢は、
真っ青な空が広がる広い大草原。
緑の芝生の上に座った私の膝に頭を乗せた孝天が、
安らかにまどろむ夢だった。



頬には優しく暖かな風。
陽の光をたっぷりと浴びながら、
夢の中の二人は、いつまでも幸せな気持ちを噛みしめる。



孝天、それでも私はあなたに出逢えてよかった。
孝天、それでも私はあなたを愛することができて幸せ・・・。



そんな気持ちをそよ風に乗せ、
見上げた空には、真昼の月が二人を見守るように白く光っていた。





                               ~~ END ~~





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