ここはF4のことが大好きな私たちの頭の中で、日々繰り広げられているF4ワールドを公開している ブログです。 よろしければ一緒にスーワールドへ、迷い込みませんか?

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『 Lips 』

...2009/05/16 23:15...




『 Lips 』



眩い陽の光。
ユラユラと揺れる白いレースのカーテン。
遠く聞こえる街の喧騒。



休日の午後。
私はベランダの窓を開け放ち、その前に転がっていた。
閉じた瞳に跳ねる春らしく優しい光の帯。
うつらうつらとまどろみながら、ただ時の流れに身を任せる。
そんな時間が、日々の暮らしに疲れている私をほんの少し癒してくれていた。









あったかい・・・もうすぐ桜も咲くかな。



私は春から夏にかけての季節が大嫌いだった。
街に出掛ければ楽しそうな家族連れや、仲睦まじいカップルばかり。
互いの名を笑顔で呼び合いながら、腕や手を絡ませながら歩いている。
なんだか私にはそれらが全て嘘っぽく見えて、ため息が出た。



でも今年はなぜか春が待ち遠しい。
なぜだろう?
彼に出遭ってからというもの、
月も風も、雪でさえも、全てが優しく感じられる。
この春は桜の花がサラサラとこぼれる景色が見たい。
そんな私は自分らしくないんじゃないかと戸惑いながらも、
それも悪くないんじゃないかと思えて、今は流れに身を委ねていた。
考えることすら面倒だ。



ガチャガチャ。
チャリーン。



彼が帰ってきた。
鍵を下駄箱の上のカゴに放り込む音が聞こえる。



「何してるんだ、そんなところで。」

「・・・・ん? おかえり。 日向ぼっこ。」



私の頭のすぐ傍に立つ彼の顔を、薄く開けた目で見上げると、
彼は私の横に転がる空き缶を手に取り眺めているところだった。



「昼間っから酒飲んでか? しょうがないヤツだなw」

「一本だけね。 気持ちいいよ~。 孝天も飲む?」



気だるい体を起こして膝を抱える。
苦笑いをする彼の声が、ぼぉっとした頭に心地いい。



「ん・・・そうだな。」



そう言って、冷蔵庫から2本のビールを持って戻る孝天。
そのうちの一本を寝ぼけた頬に押し当てられ、私の体は跳び上がる。



「冷たいっ!」



私はそのビールを受け取り、彼を睨んだ。
ベッドの上にドカっと座った彼が、そんな私を見ておかしそうに笑う。



「ちょっとは目が覚めただろうw」



そして缶に口をつけ、一口クッと飲み干した。



ほんの数ヶ月前には、想像もしていなかったこの光景。
人を寄せつけようとしなかった私の傍には今、彼がいて微笑んでいる。
なぜだか私はそんな状況に心地よさを感じてた。



「ねぇ。」



私は彼を見つめて呼びかける。
彼はまたビールを流し込み、口に含んだまま私を見つめた。
額にかかった柔らかく艶やかな髪を、春の風が優しく揺らす。



「ん?」



呼べば響きのいい声が返ってくる。
うん、なかなか悪くない。



「ねぇ。」



孝天は自分をジッと見つめたまま動かない私を、
眉間にシワを寄せ見つめ返した。



「なんだ?」

「フフw」

「・・・おかしなヤツだな。」

「ねぇ、孝天。」



ふたつの視線が繋がる優しい時間。
不思議そうな表情をしていた彼が、
ようやく私の呼びかけの意味に気付いたようだ。



缶を持ったまま立ち上がり、
私の後ろに周り込んだかと思うとそこに腰を下ろす。
そして長い足を私の両脇に投げ出すと、
手に持った缶を床に置き、その腕で私を優しく包み込んだ。



「どした? なんかあったのか?」



耳のすぐ横で響くテノールの柔らかい声。
そのかすれた吐息が私を安心させる。



「ううん、なんにもないよ。」



彼の肩に頭を預けながら、私は彼のキレイな指を弄んだ。
そんな私の髪に頬を押し当てる孝天。



「そっか。」



触れる指先を、今度は彼が絡め始める。
肩や胸から響き伝わってくる孝天の声。
私は彼の声がことのほかお気に入りだ。



「ねぇ、孝天。」

「あ?」

「なんか歌って。」

「は? 歌?」




つかの間の沈黙が、彼の戸惑いを表している。
それも無理はない。
普段私がこうやって何かをねだることは、ほぼないことなのだから・・・。



「なんで?」

「聴きたいから。」



またも黙り込む孝天。
今、彼は何を思っているだろう。



「・・・・・なんの歌?」

「なんでもいいよ。」

「なんでもって・・・。」



突然言い出した私のわがままに戸惑っているのか、
その後の言葉が聞こえてこない。



「やっぱ、いい。 無理に歌わせるつもりないし・・・。」



ため息をつき、彼の体から身を起こし缶を開けビールを半分ほど飲み干した私。



ここで甘い声を出し再びねだることができれば可愛いのだろうが、
人に甘えるということを忘れた私には、そんなこと到底できない。
やっぱりという気持ちと共に込み上げてくる苦笑い。



私には似合わない・・・か。



すると背後から再び長い腕が伸びてきて、ギュッと私を抱きしめた。
それと同時に聴こえてくる緩やかで甘い旋律。



♪ Why do birds

  Suddenly appear?

  Everytime you are near

  Just like me

  They long to be

  Close to you


驚いた私は彼の腕の中、少し体をビクつかせた。
そんな私をまたギュッと抱き寄せ、歌い続ける孝天。



♪ Why do stars

  Fall down from the sky?

  Everytime you walk by

  Just like me

  They long to be

  Close to you



彼の歌声は私の心に直接届く。
そして傷だらけの心にゆっくり沁み込むように、私を包む。
少しずつ・・・少しずつ・・・。



涙が自然に溢れ、それは留まるところを知らなかった。



頬を撫でる優しい風の上に、彼の指が重なる。
そっと私の顎を上向きにさせた孝天は、この上もなく穏やかな顔をしていた。



♪ on the day that you were born

  The angels got together and decided

  To create a dream come true

  So they sprinkled moondust in your hair

  Of gold and starlight in your eyes of blue



ゆっくり滑らかに音を紡ぎだす彼の唇。
私は涙を拭くことも忘れて、思わずそこに手を伸ばしそっと触れてみた。



この唇から醸し出される言葉が私は好きだ。
口数は少ないけれど、その言葉の奥にはいつも優しさと真実が潜んでいるから。



この唇はいつだって優しく私に触れる。
人に対して臆病な私ですら、彼から傷つけられるなどと想像することはできなかった。



♪ That is why all the girls in town

  Follow you all around

  Just like me

  They long to be

  Close to you



柔らかい唇から、吐息のように漏れるかすれた歌声。
私はあまりの心地よさに、瞳を閉じた。
そこへスローモーションのように触れる唇。
瞼から頬へ・・・そして耳に・・・首筋に、肩に・・・・。



フワフワと漂う彼の腕の中は、私のシェルター。
どんな気持ちの時だってそこに逃げ込めば、何かから守られてるような気になれる。
それは幻想に過ぎないことはよくわかってはいたが、それでもいいと私は思っていた。
もし、この腕の中で傷つけられることがあっても、
私は腕の温もりだけで穏やかでいられるような・・・そんな気がして・・・。



「孝天の声・・・いいね。」

「そうか。」

「うん。 好きだな・・・。
 その歌声を聴いてると・・・
このまま消えてなくなっちゃいたいって思うほど・・・。」



耳にフッとかかる吐息。
私の胸がまたドクンと脈打った。



「消えてなくなられちゃ困るな・・・w」

「え? 困るの?」



左腕に私の背中を受け止めている孝天がその腕を曲げ、
私の全てを抱き寄せ微笑んでいる。



「そりゃ困るだろ。」

「なんで?」



右手で私の頬を撫でる孝天が顔を寄せ囁く。



「こんなことができなくなる・・w」



彼がそう言うと、重なる唇と唇。
甘く長く続くその口づけは、私の意識を朦朧とさせた。



孝天とのキスは、いつも私に不思議な感覚を運んでくる。
彼と唇を交えていると、
どっちが自分で、どっちが彼だかわからなくなるのだ。
そのうち、溶けて同化してしまうのじゃないかという気さえしてくる。
なのにこのまま彼がすぅっと消えてしまいそうな気もして・・・・・。



彼の柔らかい唇が私を捉えると、そんな気持ちが交錯し、
とにかく切なくて涙が溢れ止まらなくなるのだ。



「孝天・・・私・・・。」



孝天は、涙声でそう言った私をようやく開放し、
気持ちを見透かしたかのように再び耳元で歌い始める。



♪ Woo... close to you...


孝天の声が優しく響く、春と呼ぶにはまだ少し早い午後のひと時。
私は、彼の唇が醸し出す柔らかい音の世界にまた引き込まれていった。





                        ~ END ~




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