ここはF4のことが大好きな私たちの頭の中で、日々繰り広げられているF4ワールドを公開している ブログです。 よろしければ一緒にスーワールドへ、迷い込みませんか?

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『波が織りなすシンフォニー』

...2009/05/17 16:19...




『波が織りなすシンフォニー』



足の下から響いてくる規則正しいリズム。
ムっとする人いきれ。
窓から入る風が、車内を洗うように駆け抜けていく。




電車のドアと座席の横にできた狭いくぼみに体を納めた私は、
壁に手をついた彼の腕の中にいた。
彼は窓の外を流れる景色に目をやっている。
車内を抜ける風が、彼の艶やかな髪を揺らしていた。










「ねぇ旭、私をどこに連れて行くの??」



彼はチラっと私を見て嬉しそうに微笑み、何にも言わないまま
また窓の外に視線を戻した。



「ねぇ、旭ったら!」
「電車ん中で大きい声出すなよ。お前の声ならちゃんと聞こえてる♪」
「1ヶ月も会えなかったと思ったら、いきなり家まで来て、
 何にも言わずに連れ出すんだもん。
 どこに行くのかくらい教えてくれてもいいじゃない・・・。」



私が口を尖らせてブツブツ言ってると、
彼はいつものように私の頭をクシャっと撫でて、満面の笑みで答える。



「もうちょっと待てよ。そうすればわかる。
 それまでは内緒♪」
「んもう!! 今日の旭ってば、ちょっと意地悪・・・・。」



私は拗ねた顔を見せ、彼の顔から視線をそらして車内を見た。










そう。
ココ1ヶ月、また旭の仕事が忙しくなり、
私たちは会えない日々を過ごしていた。



旭の仕事がピアニストということもあり、
忙しくて会えない日が続く事には慣れっこになっているつもりだが、
やっぱり一番会いたい人に会えないのは辛い。



ほとんど毎晩のように電話で話していても、
彼の手で頭を撫でられたり、
彼の無邪気な笑顔を見たり、
彼の体温を身近に感じられない事は、
私にとって、彼と付き合い出して唯一の苦痛の種だったのだ。



今日も彼と会えない休日になると覚悟し、
家で一人、ピアノに向かっていたところ、
旭が息を切らし、ウチまでやってきたのだ。



ドアを開け、彼の満面の笑みが見え、
彼の腕に抱きすくめられた瞬間、
私は不覚にも涙してしまいそうになった。
毎日、毎晩、恋焦がれ会いたいと思っていた顔、
そして抱きしめられたいと思っていた腕だったから・・・・。








電車のリズミカルな揺れに身を任せながら、
ほんの1時間ほど前のそんな出来事を思い返していた私は、
ふといくつもの視線と、かすかに聞こえる囁きに気付いた。



彼の腕越しにその視線の元を探してみると、
それはありとあらゆるところから投げかけられている。




みんな、旭を見てる??




そう。
彼は背も高く、スタイルも抜群。
そしてその顔は、まるで異国で生まれた彫刻のようにキレイな顔立ち。
旭は初めて見かけた時、モデルかと思ってしまったような容貌なのだ。
どんな人混みの中にいても、ひと際目立つ。



同じ車内に乗り合わせた若い女の子のグループからは、
「あの人ステキよね~♪ どっかのモデルかな??」
というヒソヒソ話が聞こえてきた。



やっぱりみんな思う事はおんなじなのね♪



そう思いながら旭を見上げると、
自分が注目の的になってることなど露ほども知らない顔で、
小さく鼻歌など歌いながら、さっきと同じように窓の外を眺めている。
私を守るように壁についた長くキレイな指は、鍵盤を叩くように跳ねていた。
そんな少し鈍いところが彼らしい。



思わず小さく微笑んでいると、彼が私の顔を覗き込むように尋ねる。



「なんだよ? 何がおかしい??」



なにも気付かず、無邪気に尋ねる彼が愛おしくって、
彼の着ていた洗いざらしの白いシャツの裾をそっと握る。



「なんでもない。
 やっぱりココにいるのは、本物の旭なんだなって思って♪」



そう言った途端、顔を真っ赤にし、
私から目線をそらしながら照れ笑いをする旭にホッとする。
これは夢ではなく現実なんだと・・・・・。









しばらくそんな幸せな気分にひたっていると、
またかすかな囁きが聞こえてきた。



「あれ、彼女?? 
 やだぁ~、なんかイケてな~い!!」
「あの人の彼女にしちゃ、パッとしないね??」
「うんうん。なんだかすごく不釣合いよね~??」




彼のシャツを握ったまま固まる私。
さっきまでの幸せな気分は、一瞬の間にどこかに消え去ってしまった。



やっぱり私、旭には不釣合いなの・・・・??



今まであまり外に出かけることがなかった私たち。
いつも部屋の中でピアノを弾いたり、
ソファに座ってビデオを観たりするのが、二人の時間の過ごし方だった。



私たちは、ただ一緒に同じ時間を過ごせればそれでよかったのだ。
ソファに並んで座り、
話し出したら止まらない彼の話を聞く。
ただそれだけで、私は幸せな気分でいっぱいになれた。



だから、一般的に言われるデートらしいデートをしたのは
今日が初めてかもしれない。



でもこうやって外に出てみると、やっぱり彼は注目の的で、
私はそんな彼には不釣合いなんだ・・・・。



そんな事を考えていると、なんだか恥ずかしくって、
彼に申し訳ないような気分になって、
彼のシャツから手を離し、一人俯いていた。




そんな私に気付いた旭が、「ん??」という風に、
再び私の顔を覗き込む。



「どうした?? 気分でも悪くなったのか??」



そっと彼を見上げると、心配そうな顔つきで私を見つめている。



私が考えていることは、話さずとも全部わかってしまう彼なのに、
女心にはトンと鈍いのも彼らしい。



「ううん、なんでもない。」



そう言った私は、彼の足元に視線を落とす。
心の中を悲しい気持ちでいっぱいにしながら・・・・・。












数十分後、私と旭はある海岸の波打ち際を歩いていた。
そこは以前、私が彼を傷つけ、そんな自分に自己嫌悪を感じ、
逃げ込んだ海岸だった。
その時、彼は私をココに迎えに来てくれたのだ。


空は雲ひとつないくらい真っ青に晴れ渡り、
波はダイヤを散りばめられたようにキラキラと輝いている。



私は白い砂を踏みしめるたび、
悲しい気持ちを引きずりながら、旭の隣を歩いた。



「う~~ん!! 久しぶりの海は気持ちいいな♪」



旭はご機嫌で、ふと立ち止まり水平線の方を遠く眺めながら背伸びをする。



「お前も久しぶりだろ??」



楽しそうにそう尋ねる旭に、答えることもできなくなっていた私は、
黙ったまま足元の白い砂を見つめていた。




「どうしたんだ?? 何か怒ってるのか??
 それともやっぱり具合が悪いのか??」



私の腕を掴み、困ったように私を見つめる彼は
心の底から私を心配してくれている。



「やっぱり無理に連れてくるんじゃなかった・・・。
 俺、体調聞くこともしなかったもんな。
 今から病院に行くかっ??」



何を言っても答えない私に、とうとう旭が慌てだした。
そして私の手を取り、急いで病院に向かって歩き出そうとする。
でも、私はそこから動こうとはしなかった。



「おい、どうしたんだよ??
 具合悪すぎて歩けないか??
 じゃ、俺がおぶってやろうか??」



俯く私の顔を、長身の彼が身をかがめて覗き込む。
私を見つめるその優しい目に出逢った時、私は思わず呟いた。



「ねぇ旭、私は旭と一緒にいてもいいの??
 私は旭には不釣合いなんじゃないかな??」



今まで心配顔で覗き込んでいた彼の目が、驚きの色でいっぱいになる。



「え?? お前いったいどうしたんだよ??
 なんかあったのか??」
「ううん、何もないんだけど・・・・・。
 私、なんだか旭の隣にいちゃいけない気がして・・・・。」
「何言ってるんだ?? 今日はどうかしちゃったのか??」



何も答えられず、必死の思いで涙をこらえている私に、
しばらくの間、困惑しながらも考えていた旭が
向き合ったまま私の両手をとって言う。



「今日はお前にお願いがあって、ココに連れてきたんだ。」



私はその旭の言葉に、身が凍る思いがした。


ひょっとしたら別れを切り出されるかもしれない。


そう思ったからだ。
でも旭は次の瞬間、私を包み込むように抱きしめた。



「俺の部屋に越してこないか??
 ずっと一緒にいよう。」



耳元に彼の優しい声が沁みるように響いてきた。



え? 何を言ってるの??
今、何が起きてるの??



何がなんだかわからないまま、彼に抱きしめられていると、
知らない間に今まで我慢していた涙が溢れ出す。


すると何も言えずに泣いている私に、旭が戸惑ったように言った。



「ごめん・・・やっぱり自分勝手な話だったよな。
 俺と一緒に暮らしても、忙しくなると構ってやれないし、
 お前にはお前の生活があるもんな・・・。
 ただ、俺はこんなに長い間お前と会えないのが辛いんだ。
 忙しくて時間がなくて構ってやれなくても、
 帰ってきた時にお前の寝顔が見れるだけでも幸せだろうと思った。
 どんなに疲れてても、お前の存在をそこに感じるだけで頑張れると思ったんだよ。
 でも・・・・・自分本位過ぎた、ごめん・・・。」



そして腕の力を緩め、私の体を放そうとした時、
私は彼の背中に腕を回し、抱きついた。



「違う・・・・嬉しいの。
 旭がそんな風に思ってくれて、嬉しかったの。
 私を必要としてくれて嬉しいのよ・・・。」



しばらくは力もなく私に抱きつかれたまま立ちつくしていた旭だったが、
徐々に私の言った言葉の意味を理解したように、
再び強く私を抱きしめた。



「じゃ、いいのか?? 
 これからは一緒に朝を迎えられるのか??」



私は言葉で答える代わりに、腕に力を込める。



「帰りにお揃いのマグカップ、買って帰ろう♪」



二人は、波が織りなすシンフォニーに包まれてた。










帰りの電車は空いていて、二人並んで座ることができた。


「前、お前を迎えにきた帰りにも、こうして並んで座ったよな♪」
「うん、そうだったね。
 それで旭が私に楽譜をくれたのよ。」
「あぁ・・・。あれ、ちゃんと練習してるか??
 俺が見てないと思ってサボってるだろ??」
「・・・・・あ・・大丈夫よ、たぶん。」
「たぶんってなんだよ、たぶんって。
 お前のことだから、1ヶ月のうち1週間しか練習してないな。」
「え?? なんで知ってるの??」
「やっぱり・・・・・。」



旭がガックリと肩を落とす。
そして私はごまかし笑い。



しばらくの間、肩に私の頭を乗せた旭は黙ったまま
窓の外を眺めていたが、ふと私に尋ねる。



「そういえばお前、体の具合はよくなったのか??」



私は彼の肩に預けていた頭を起こし、驚きの目で彼を見つめたが、
その私を真剣な顔つきで見つめている彼を見ておかしくなった。



「旭ってやっぱり女心がわかってないのね??」



いよいよ不思議そうな顔をする旭の肩に再び頭を乗せた私は、
彼の体温を肌で感じられる幸せを感じていた。



幸せな二人を乗せた電車は走る。
私たちの家が待ってるあの街に向かって・・・・・。



                          



                               ~END~







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