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『天使に抱かれた夜』

...2009/05/17 16:54...



『天使に抱かれた夜』



「はぁ~。」



窓の外には一面に広がる重く黒い雲。
その雲を眺めていると、私の口からは知らず知らずのうちに大きな溜息が出る。



「ねぇ、コーヒーでも入れようか?」



外のグレーな景色に飽きてきた私は、振り返って彼に問いかける。



「ふふふ~ん♪」



彼はいかにも楽しげに鼻歌を歌いながら、作業を進めている。



「ねぇ。 ・・・・・ねぇってば!!」

「・・・ん?? なに?」



ようやく私の声に気付いた彼が、モールを持つ手を止め、私に視線を移した。



「楽しそうね?」



呆れたように言葉を投げる私。
彼にはちょっと意地悪に聞こえたかもしれない。



「うん、まぁね♪」



彼は両頬にエクボを見せ、子供のように微笑みながら、
目の前にすっくと立ったツリーへ瞳を戻す。
私の少し皮肉めいた台詞は、彼にはそう聞こえなかったらしい。
その証拠に、また楽しそうに鼻歌を歌いながら、
数日の間、この部屋の主役になるであろうツリーを着飾らせる作業に精を出し始めた。



ホント、子供みたいなんだから・・・・。



私は彼の、そんな天真爛漫さを羨ましく思いつつ、その横顔を眺めた。










私の心はここ数日、外のどんよりと暗い空のように曇っていた。



数日前、私は子供の頃からの大親友とケンカをした。
きっかけは些細なことだ。
最近失恋したばかりの、彼女の自暴自棄な態度が気に食わなかった。
自分を大切にしない、そんな生活をやめてもらいたかった。
でも、それはどうやら彼女にとって大きなお世話だったらしく、
私の言うことになど耳を傾けようとしないどころか、



「あんたは自分が幸せだから、そんな事が言えるのよ!!」



そう言ったが最後、私との連絡を絶ってしまったのだ。



悲しかった。
こんなに思っているのに、私の気持ちは相手へと伝わらない。
どうしてだろう。 どうしてなんだろう。
私が言ってることは所詮、彼女にとってきれいごとでしかないのだろうか?



最後の彼女の声が耳について離れない。
まるで私が悪いことでもしたような気分だ。
ひょっとして、私は彼女を傷つけてしまったのだろうか・・・・??










「これ、ちょっと手伝って♪」



ぼぉっとそんなことを考えていた私を、明るい旭の声が現実へと連れ戻す。



ふと見ると、さっきまでクリスマスツリーの飾りつけをしていた旭が、
今度はテーブルの上にカラフルな色紙を広げて、何かを作り始めていた。
私は仕方なく彼のいるテーブルへと近付いて行く。



「今度は何作ってるの?」



私は気乗りしない声で彼に問う。
そんな私には気付かないように、楽しそうな彼の笑顔。



「ん?? いろいろ♪
 ・・・・・あ、お前、サンタさん折れる?」

「・・・・ハイっ?! サンタさん・・・・??」



私は思わず、すっとんきょうな声を上げる。



「サンタさん」って・・・・・・。
この人、確か私より年上だったはずよね?
こんな嬉しそうな顔して「サンタさん折って♪」って・・・・・。



「・・・・やってみなきゃわかんないけど、
 昔、作ったことがあるような気がする・・・・。」

「そっか、よかったぁ~♪
 じゃ、それ、頼むな♪」



赤や緑の鮮やかな折り紙を、あ~でもない、こ~でもないと、
真剣な顔をして悪戦苦闘しているこの人が、
あの優雅にピアノを弾きこなしている私の恋人だなんて・・・・・。



私はワケがわからないながらも、
今のモヤモヤとしたイヤな気持ちから少しでも逃れたくて、
赤い色紙を一枚取り、過去の記憶を辿りながら、
彼のいう「サンタさん」を折るべく、彼と一緒になって悪戦苦闘し始めた。



「できた♪ これでいい??」



数分後、私が声をあげると、彼が私の手の中でニッコリ微笑む「サンタさん」に目をやる。



「おぉ!! スゴイ!!
 うんうん、これであの子も喜ぶよ♪」



輝くほどに眩い彼の笑顔。
冬の部屋に灯ったキャンドルのように暖かい笑顔だった。



「あの子??」



私は素朴な疑問を投げかける。



「あ・・・・言ってなかったっけ?
 今度、俺がいつも慰問に行ってる施設でクリスマス会があるんだ♪」

「施設って・・・・あの・・・・?」

「そう、いろんな事情で親を失くした子供たちが集められてる施設。
 話したことなかったっけ?」



旭は少しでも時間が惜しいのか、また色紙と格闘しながら答えた。



「そこにはたくさんの子供たちがいるんだけど、
 一人だけ、どうしても、何をやっても心を開いてくれない子がいるんだよ。
 まだあんなに小さいのに、誰にも心を開かず、いつも一人ぼっちなんだ。
 なんとかして一人じゃないんだってこと、伝えたいんだけどな~。」



彼は明るく何気に言った台詞だったが、彼の性格から考えると、
今までその子の心を開くのに彼がどれだけの努力をしてきたか、なんとなくわかるような気がした。



「ね、旭。 きっと旭は今までその子に対して、
 自分の気持ちを伝えようといろんな事してきたよね?」

「ん?? うん・・・まぁね。
 何をしても、何を言っても、笑ってくれないんだ。
 どうしたら笑ってくれるんだろうな~。」



少し苦笑いする旭。
私は今の自分の気持ちが重なって、問い詰めずにはいられない気持ちになって、
思わず大きな声をはりあげた。



「でも・・・・でも、その子には旭の気持ちは届かないかもしれない。
 旭がどんなに思っても、どんなにその子のために努力しても、
 一生、旭の気持ちは届かないかもしれないんだよ??
 それでも・・・それでも旭は努力し続けるのっ?!」



突然声を荒げ立ち上がった私に、彼はビックリした表情で私を見上げた。
でも、少し泣き出しそうな顔をした私を見るとフッと微笑み、
穏やかな暖かい声で言った。



「それでも・・・・俺は努力するよ。
 俺の気持ちがあの子に伝わるまでね。」



私はその言葉を聞くなり、どうしていいのかわからない感情が湧き起こってきた。
怒りなのか、悲しみなのか・・・・。
とにかく自分でも抑えきれない感情が溢れてきたのだ。



「どうして?? どうしてよっ?!
 なんでそんなことできるのよっ?!」



そう叫んだ私の瞳からは、ワケのわからない涙が流れ落ちる。
きっと私は、長年一緒に過ごした親友にさえ気持ちを伝えられない自分に腹が立っていたのだ。
そんな自分が情けなかった。
今まで築き上げてきた彼女との関係は、こんな事も乗り越えられないくらい薄っぺらいものだったのか?
このまま崩してしまうのが怖い。
でも、今の私には自分の気持ちを伝え、彼女の支えになる自信がなくなりかけていた。



唇を噛みしめて、ただただ涙を流すだけの私。
そんな私に慌てる様子もなく、少し寂し気な笑顔で旭が答える。



「必ず伝わると信じてるからだよ。」






あぁ・・・・これが旭という人だ。






純粋に人を思い、そんな気持ちを持ってすれば誰にでもそれが伝わると信じて疑わない。
子供のように純粋で透明な心を持つ人。



これが旭という人なんだ・・・・。



ただ流れては床に落ちていく涙に、なす術もなく立ちすくんでいると、
彼が傍に来て、そんな私をそっと優しく抱き締める。



「時間はかかるかもしれない。
 人の気持ちを変えたり、自分の気持ちを伝えるのって必ずしも簡単じゃないから・・・。
 だけど、時間がかかったって、俺は自分の気持ちを伝えるよ、必ずね♪」

「旭・・・・。」

「待つことだって必要なことだ。
 俺は待つよ、いつまでも・・・。」



そう、人の気持ちを変えるのは簡単なことではない。
ましてや相手が心に傷を持っているとしたら、なおさらだろう。
待つことも必要。 相手にだって時間は必要。  
いつか必ず気持ちは伝わると信じて待つことも、相手への愛情かもしれない。
それなら、私も彼女を信じて待ってみよう。
気持ちを伝える努力をしながら・・・・・。



「旭・・・?」

「ん??」

「あなたって・・・・バカねw」



彼の腕の中で泣き笑いした私を、
少し怒ったようにギュッと強く抱きしめなおした彼。



「お前が教えてくれたんだろ。
 なら、お前もバカだなw」



彼の胸につけた耳から響く、クスクス笑う彼の声。



「えっ?! 私が??
 私が何を教えたっていうのよ?」

「心を閉ざして絶望していた俺の心を、
 長い時間かけて開いてくれたのはお前だっただろ? もう忘れたのか?!」



そうだった・・・・・。
この人と初めて会った時、この人は心から愛してた人と別れ、
その愛の大きさゆえに絶望して心を閉ざしていたんだっけ。
私は悲しく冷たい瞳が気になって、なんとかしたいと思い続け、傍にいたんだった・・・・。



あの時、できたんなら、今度もきっとできるよね?
時間が経てば、彼女もきっと以前のように心を開いてくれるよね?
私の心に彼女を思う気持ちさえあれば・・・・。



私の中で消えそうになっていた自信の灯りが、再びポッと灯った気がする。
旭が取り戻してくれた灯りだった。



「・・・・忘れたw」

「お前な~!!」



煌めくドレスを身に着けた大きなツリーのたたずむこの部屋に、
二人の笑い声が響く。



大切な事を思い出させてくれてありがとう。
大好きだよ、旭♪











「う~ん、雨が降り出しそうだな。」



旭がベランダの手すりに手をつき、空を見上げながら呟く。



「ホントだね。 クリスマスに雨が降ったらイヤだな~。」



私も彼の横で空を見上げながら、眉間にシワを寄せた。
すると、旭がいきなり両手を胸の前で組んで、瞳を閉じ、
口のなかでモゴモゴと何かを唱え始めた。



「何してるの?」



私の声にゆっくりと瞳を開いた彼が、ニッコリと微笑む。



「クリスマスには雨じゃなく、真っ白な雪を降らせて下さいってお願いしてたんだ♪」

「・・・・・神さまに??」

「そ♪ 神さまに♪」



エクボをペコっとへこませて笑ったその笑顔があんまり可愛くて、
思わず笑ってしまった私。



「なんだよ~。 バカにしてるだろ?」



少し拗ねた顔も、きっと子供の頃から変わってないんだろうな~。



「ううん♪ 旭だな~って思ってさ♪」

「なんだよ、それ・・・。」



ベランダの手すりに、再び肘をついた彼が天を仰ぎ見て呟く。



「クリスマスの日、雪で街が包まれるように、
 世界中の人たちがみんな、幸せな気持ちで包み込まれるといいな~♪」



そう言った彼の姿を見て、私は思わず自分の目を疑った。



彼の背中に、羽根が見えたから。
その大きく真っ白な羽根は、今にも羽ばたいて行ってしまいそうに彼を包み込んでいた。



まるでその天使のような姿に、しばし固まったまま息を呑む私。



「ん??」



そんな私に気付き、ふとこちらに視線をやった彼は、いつもの彼だった。



あれは一体、なんだったんだろう?
彼はひょっとして、どうしようもない私の為に、
神さまが地上に降ろしてして下さった天使なのだろうか??



「なんだよ?」



不思議そうに私の顔を覗き込む旭。



「ううん、なんでもない。
 私はいつだって幸せよ。
 だって天使と一緒に暮らしてるんだもん♪」

「えっ? なんの話だ・・・・??」



私の突拍子もない台詞に、ワケがわからないという顔をしていた彼が、
私の笑顔につられて微笑んだ。
そして私の肩を抱き、空を見上げる。



「雪、降るといいね♪」



二人を包む空気は痛いほど冷たいけれど、
心は天使に抱かれたように暖かい。



遠くからサンタの乗ったソリの鈴の音が聞こえたような気がする冬の夜。
私は確かに天使に抱かれていた・・・・。




                                    ~ END ~






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