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『太陽の光』 ~後編~

...2009/05/17 19:14...



~後編~



ヴァネスは放心したように、その場に突っ立っている。
私はどうしていいのかわからなかった。
ヤツがヴァネスに向かって言う。


「俺はコイツが好きだ! 例えコイツがお前の事を好きでも!!」


ヴァネスは驚いたようにヤツを見ていたが、
次第にその顔が怒りでいっぱいになっていく。そして私の顔を見た。
その瞳が何を語ろうとしているのかがわからなくて、私は目をそらしてしまう。
するとヴァネスはいきなりオフィスを飛び出した。



「待って!! ヴァネス!!」



私は彼を追いかけようとしたが、ヤツが私の腕を捕らえて放さない。
ヤツを振り返ると、ヤツは懇願するような眼差しを私に向けながら言った。



「行くな!! 行かないでくれ・・・今だけでいい。
 側にいて欲しいんだ。」



どうしよう・・・コイツも傷ついている。
そしてヴァネスも・・・。
彼らを傷つけてしまったのは私だ・・・。









しばらく、私は何も考えられずにヤツの側にいた。
ヤツは私の隣で大きな体を子猫のように小さくして座っている。



「どうしたの? 何かあったの?」

「・・・・・」



何も言わず、ただ黙って座っているヤツを見ていると、
今までの事が頭に浮かんできた。



コイツにはコイツなりのいろんな感情があって、
今までの行動に繋がってきたんだろう。
でも誰もその事に触れてもくれないし、
解かってあげようともしなかったんではないだろうか?
ただただ腫れ物に触るように、彼を遠巻きに見ているだけだったのではないのか?
きっと私もそうだ。 彼を解かってあげようとしてなかった。
それが彼を傷つけていたのかもしれない・・・。




「悪かった・・・」



ヤツがいきなり口を開いた。



「え??」

「アイツ、怒らせちまったな」

「あ・・・うん・・・」

「俺、今日はどうかしてたんだ。・・・」



ヤツは膝の上で組んだ自分の手を見つめながら話す。



「実は俺さ、今度アメリカに行くんだよ。
 親が仕事の勉強のために行ってこいって・・・今朝、言われたんだ。
 でも俺はまだまだ、ここで学ばなきゃいけない事があるような気がしてる。
 確かにアメリカに行く事は、今後の俺にとってすごくプラスになるだろう。
 いつかは行かなきゃいけないんだとも思う。
 でも、まだ今はここで頑張る時期なんじゃないかと思うんだ。」

「どうしてここにこだわるの?
 ここはいずれアンタの会社になるんじゃない。
 だったら焦らず、アメリカから帰って来てからでも遅くないんじゃないの?」



すると、いきなり顔を上げ、真っすぐな眼差しを私に向けて言った。



「俺、アイツに勝ちたいんだ」

「アイツ?? ・・・ひょっとしてヴァネスのこと?」



ヤツは私の目をジッと見つめて頷く。



「アイツは何でもできるし、自信に満ち溢れてる。
 でも俺には自信なんてもの、これっぽっちもないんだ。
 ・・・いつも自分に自信がなくて、だけどそれを人に覚られるのが怖くて、
 ずっとあんな風に横暴な態度をとってきた。
 けど、お前に会って変わった。
 お前は何ひとつ要領よくこなせないのに、
 自信に満ち溢れてるように見えた。
 なんでなんだろうって思ったよ。
 だけど側でお前を見てるうちに、だんだんとわかってきたんだ。
 なんでも一生懸命取り組んで、自分でやったという実績が、
 お前の自信に繋がってるんだって事が。
 そして、そのエネルギーはアイツが与えてるんだって事が・・・。
 だからアイツに勝ちたいって思った。
 そして今度は、俺がお前にエネルギーを与えたいって思ったんだ。」



ヤツがこんな風に、自分の気持ちを人に話すのは初めてなのかもしれない。
きっと今まででも、気持ちを吐き出したいこともあっただろうに・・・。
彼の育ってきた環境が、それを許してはくれなかったのだろう。



「ねぇ・・・、私だって自信なんかこれっぽっちもないわ。
 きっとヴァネスだってそうよ。
 だから人って努力するんじゃないのかな?」



ヤツは驚いたような顔をして、私を見つめた。



「私は特殊な環境に育ってきたアンタが、
 どんな思いで今まで過ごしてきたか知らない。
 でもね、人間なんて結局みんな一緒だと思うの。
 どんな立場にいる人でも、みんな怖いと思いながら生きてるんだと思う。
 何が怖いかは人それぞれ違うけどね。
 アンタはヴァネスが自信満々に見えるって言ったけど、私は知ってる。
 彼がその為にどんなに努力し続けてるか・・・。
 そして、そうやって人一倍の努力をしてる彼にも怖いものはあるんだよ?
 ・・・ううん、怖いからこそ努力してるの。」

「まさか!!だってアイツ・・・!!」

「ううん、そうなの。
 きっと今だって恐怖で胸がいっぱいになってるんじゃないかな?
 私には解かる。 私だって怖い。 失いたくないものがあるもん。
 だから今まで頑張ってこれたのかもしれない。 彼もそうだと思う。」



私はヴァネスの顔を思い浮かべながら言った。
ヤツはそんな私の顔を見つめてしばらく考え込んでいたが、ふと笑った。



「わかった。
 お前たちの怖いものって、お互いを失うことなんだな?
 負けた。完敗だな。
 ・・・もう行けよ。アイツ、待ってんだろ?」



私は驚いてヤツの顔を見た。
ヤツは今までに見た事もないような、優しい表情で微笑んでる。



「え??で、でも・・・」

「俺なら大丈夫だ。 これからしっかり考える。
 自分の将来のことだからな。 お前らなんかに負けてたまるか!」



強がってるのはわかっていた。
でも、ヤツの顔には今までの影が消えている。
もうホントに大丈夫??



「アンタ、熱あると思うよ?早く帰らないと・・・」

「そうだな、これが終わったら帰る。心配すんな!
 ・・・気をつけて行けよ」

「うん・・・・ねぇ?」

「ん?」

「ありがと!」



ヤツは笑顔で頷いた。






私は会社を出てから走った。
タクシーを捕まえ、飛び乗る。
車の窓から見えては過ぎていく夜景に目をやりながら、私は考えた。
ヴァネスは今、どうしているだろう?
私を許してくれるだろうか?
それとも今度こそ、愛想を尽かされてしまったのかな?
拒絶される恐怖が、私を襲う。
彼に拒絶されてしまったら、私はどうすればいいんだろう?





30分後、私はヴァネスの部屋の前にいた。
インターホンを押そうとするのだが、押す寸前で手が止まる。
でも押さなければ、このまま終わってしまうかもしれない。
それだけは嫌だ!!



少し気を落ち着けてから、やっとの思いでインターホンを押す。
しばらく返答を待ってみたが、返事がない。
もう一度押してみる。



おかしいな・・・あのままどこかに行って飲んでいるのだろうか?



私はドアノブを引いてみた。思いがけず、スッと開く。
鍵がかかっていなかったのだ。
躊躇ったが、部屋に入っていく。
中はテレビも電気もついていなくて真っ暗だ。
奥のリビングに入ると、ベランダの方に向けたソファの上に人影が見える。
目が部屋の暗さに慣れるとハッキリしてきた。



ヴァネスだ。



彼はソファに、足を投げ出すようにして座っていた。
顔の表情は背中を向けているので見えなかったが、きっと怒っているのだろう。
私に気付いてないはずはないのに、一言も口をきかない。



「ヴァネス・・・」



私は小さな声で呼びかけてみた。
でも、返事がない。
心細くて泣きたい気持ちになってきた。
どうして何も言ってくれないの?
怒ってるなら、怒鳴って、なじってくれた方がいい。
なのに背中を向けたまま、私の方を見ようともしない彼。



どうしよう・・・。
何か言って・・ヴァネス・・・。



すると、ヴァネスが背中を向けたまま、やっと口を開いた。



「お前は、どんな気持ちでここまで来たの?」



静かな口調だ。



「え?どんなって・・・」



彼は微動だにせず、黙ったままだ。



「・・・怖かった。 今でも怖いの。
 ヴァネス、ごめんなさい・・・。」



涙が溢れてきて、声が詰まる。



ふと彼が立ち上がり、ソファの後ろに回って背もたれの所に軽く腰掛けた。
向かい合わせになった彼の顔は暗くて、やっぱり見えない。



「俺も怖いよ・・・。
 俺はどうすればいいんだろう?
 ・・・なぁ、お前は俺にどうしてほしい?」



私は彼の意外な言葉に驚いた。
てっきり怒っているのだと思っていたからだ。
フッと横を向いた彼の顔を、ベランダからの街の明かりが照らし出した。



彼の頬に光る一筋の涙。



私は大きな衝撃を覚えた。
いつも大人で、私のことを守ってくれるヴァネスが泣いている!!
必死で涙を堪えようとするその横顔が、私の胸に突き刺さる。
私が彼にこんな顔をさせた。 大きな後悔が押し寄せてくる。



「ごめんなさい、ヴァネス。
 そんなつもりじゃなかったの・・・ただ・・・。」



もう後は、涙で言葉にならない。



「お前の心が見えないんだ。
 お前の為に何かしてやりたいのに、
 何をしてやればいいのかがわからない・・・。
 何をすればいい? どうすればお前は笑っていてくれる?
 俺の側ではダメなのか・・・?」

「そうじゃない!そうじゃないの、ヴァネス・・・」



しばらくヴァネスは俯いたまま黙っていた。
私はただただ溢れ出てくる後悔の念と、涙に押し流されている。
すると彼が言った。



「こっちに来て」



私は戸惑った。
彼が再び口を開く。



「こっちに来て、早く・・・」



私は彼の声が震えてるのを感じて、たまらなくなって彼の側まで行った。
すると彼は私の腰に腕を廻し、力いっぱい抱き締める。
そして震える声でこう言った。



「教えて。 俺はどうしたらいいんだ?
 こんなにお前のこと好きなのに、
 お前の為にどうしたらいいのかさえわからない。
 ・・・どうしてほしい?」



肩が小刻みに震えている。
ここにいるのは、私の知ってるヴァネスじゃない。
いつも陽気で明るくて、太陽みたいに私を包み込んでくれる、
いつものヴァネスじゃなかった。
ただ、不安に怯える小さな子供・・・。



「ごめん、ごめんね、ヴァネス・・・」



二人は声を出さずに泣いた。



「私が好きなのは、いつものヴァネスよ。
 明るくて、太陽みたいに私を暖かく見守ってくれるヴァネスなの。
 だからあなたはいつものままでいいのよ。
 あなたは悪くない!
 私があなたを不安にさせるような事をしたからいけないの!!
 ごめんね・・・ごめん・・・。」



私は震える大きな肩を抱きながら、
もう二度とこの人を不安にさせるような事はするまいと、固く心に誓った。



今までは私だけが彼に守られていて、
彼がいないとダメになってしまうような気がしていたが、
肩を震わせて泣く彼を抱き締めていると、
私が彼を守っているような気分になる。
不思議な気持ちだった。



ひとしきり泣いた後、彼が腕の力を少し弱め、私の顔を見上げながら聞いた。



「俺でいいの?
 俺はお前の側に居てもいいのか?」



背の高い彼を、上から見下ろすことなんてそうあることじゃない。
下から私を見上げている彼は、本当に子供のようだった。
そんな彼を抱き締めていると、
今までとはまた違う愛おしさがこみあげてくる。



「ヴァネスがいい。 ヴァネスじゃなきゃイヤ。
 ヴァネスが側にいてくれないと、
 私こそどうしていいのかわからなくなるの・・・。」



私がそう言うと、彼はまた私を抱き締めた。








翌朝、窓から射す光で目を覚ます。
まだハッキリしないまま隣を見ると、
そこには、いつものように私を見つめて微笑むヴァネスがいた。



「おはよう。目が覚めた?」



いつもと同じ、太陽のようなその暖かい笑顔にホッとする私。



「うん。まだ少し眠いけど・・・」



私が目をこすると、彼はその手を取って自分の唇に当てる。



「もう少し、その可愛い顔、見させて・・・」



私は気恥ずかしくなって、布団の中に顔半分を埋めた。
彼が布団をめくる。私が潜る。
そんな繰り返しの中、彼がそっと言った。



「お願いがあるんだけど・・・」



私は布団から、目だけ出して聞く。



「ん? 何??」

「キスして♪」



私が少し驚いて気を抜いた瞬間、彼に布団をはがされた。
そして、彼は真剣な、けれどとても優しい顔で続ける。



「キスをして。
 俺がお前に愛されてると感じられるような、甘いキスを・・・」



私はしばらくの間彼の顔を見ていたが、
そっと体を起こし、仰向けに寝ている彼にかぶさるように、
そっと口づけた。
唇を離すと、彼が呟く。



「お前の愛が伝わってきた♪ 俺、今すごく幸せだよ♪」

「バカ・・・♪」



今度は彼が、私を仰向けに寝かせてキスをする。
まるで太陽のような暖かい、愛が伝わるキスを・・・。





甘い甘いそんな時間が、私を幸せにしている。
いつもと変わらないようでいて、昨日までとは違う朝。
今までは彼から与えてもらってばかりだったけど、今日からは違う。
私も彼に幸せを与えていく。
そして二人で作っていくのだ、二人の幸せを・・・。



窓からの朝の光・・・。
その太陽の光が、今日も二人の上に降り注ぐ。
いつまでも・・・。

                           

                                   


                                 ~END~






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